個人事業主として起業し、迷ったのが「事業用の口座をどうするか」でした。
屋号付き口座って必要?
それとも個人口座で十分?
私自身、悩みながらGMOあおぞらネット銀行で屋号付き口座を開設しました。
結果として、事業のお金の動きがひと目で見えるようになり、家計とは分けて管理しやすくなったと感じています。
この記事では、
・事業用口座は分けた方がいいのか
・屋号付き口座のメリットと注意点
・おすすめの銀行や、選び方のポイント
を、実体験にもとづいてお伝えします。
迷っている方の判断材料になればと思います。
事業用に口座を分けた理由
個人事業主として事業を始めようと考えたとき、「お金の流れってどう把握すればいいんだろう?」と疑問に思いました。
『家計と混ざったままだと、支出の確認や帳簿づけがやりにくそう』
だったら、最初から分けておいた方が安心だろうと判断しました。
実際に屋号付き口座を開設するまでの短い間ですが、家計用の口座から事業に必要なお金を引き出して対応していました。
けれど、あとから見返したときに「これ、何に使ったんだっけ?」と思い出せない取引もありました。
特に、生活費の入出金に紛れてしまうと、事業の支出だけを抜き出して確認するのが手間です。
帳簿づけの際も履歴を何度も見直す必要があり、小さなことですがストレスを感じました。
屋号付き口座を開設して以降は、事業に関わる支出がひとつの口座にまとまり、あとから必要な取引を振り返るのが各段にラクになりました。
「これは事業に使うお金」として線引きができたことも、プライベートと事業を区別する意識につながり、お金の管理が曖昧にならずよかったと感じています。
屋号付き口座ってどんなもの?
屋号付き口座とは、個人名義に屋号を併記できる形式の銀行口座です。
原則として、開業届の控えなど屋号の存在を証明する書類が必要となります。
帳簿づけや資金管理をしやすくするために、事業のお金の流れを家計と分けたい人に向いています。
また、取引先や顧客にとっても「事業用の口座がある」という安心感につながり、信頼性の面でもメリットがあります。
なお、「屋号だけ」で開設できるかどうかは銀行によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
屋号付き口座とは?個人口座との違い
屋号付き口座は、見た目こそ個人口座と同じように見えますが、口座名義に屋号が併記されることで、事業用であることがわかりやすくなっています。
たとえば、通常の個人口座であれば「山田花子」名義となるところ、屋号付き口座では「●●事務所 山田花子」といった表記になります。
実態としては個人名義の口座ですが、屋号が加わることで取引先や顧客に「この人はきちんと事業をしている」という印象を与えることができます。
信頼感を重視する取引がある人だけでなく、事業用にお金の流れを整理したい人にとっては、有効な選択肢となります。
屋号「のみ」で開設できる銀行はある?
原則として、屋号付き口座は「個人名+屋号」の併記が必要で、屋号だけの名義で口座を作ることはできません。
ただし、ゆうちょ銀行の「振替口座」など、一部の例外的な制度では屋号のみで表示されるケースもあります。
この場合は通常の口座とは仕組みが異なり、手続きや用途も限定的なため、利用には注意が必要です。
また、屋号付き口座の開設には、開業届の控えなど屋号の証明書類が必要になります。
それに加えて、事業の実態を示す書類を求められることもあります。
私の場合、あらかじめホームページを作成していたことが、事業実態の証明としてスムーズに受け入れられました。
青色申告の申請書控えや、屋号が入った名刺・請求書なども有効です。
起業初期にホームページを用意した理由については、別記事でまとめています。
家計と共通の口座で管理するデメリット
私は事業を始めると決めた段階で、事業用の口座を新しく作ろうと考えていました。
実際に口座を開設できるのは、開業届の提出後なので、実際は事業用の口座がない期間もあります。
事業用と家計管理用の口座を分けていない期間は短いですが、それでも開業準備中の支出などは「これ、何に使ったんだっけ?」と記憶が曖昧になり、帳簿づけに悩む場面がありました。
仮にずっと家計と共通の口座を使っていたら、生活費と混ざってさらに確認しづらかったと思います。
支出が明確に区分されていないと、振り返りや収支の把握が手間取り、申告のタイミングで困る原因になりかねません。
屋号付き口座を作って感じたメリット
屋号付き口座を実際に使い始めて感じたのは、「分けておいて本当によかった」という実務面での安心感です。
口座を分けただけで、お金の流れが整理しやすくなり、帳簿づけや振り返りの手間が軽くなりました。
また、取引先に口座名義を伝えるときも、「屋号があるだけで印象が違う」と感じる場面もありました。
ここでは、私自身が屋号付き口座を選んで良かったと感じたポイントを紹介します。
お金の流れが見やすくなった
屋号付き口座を開設していちばん良かったと感じたのは、「お金の動きが事業用だけでまとまっている」という状態になることです。
帳簿は発生ベースでつけているため、必ずしも口座の履歴をもとに記帳しているわけではありませんが、あとから確認する際には、事業に関係する支出だけが並んでいると非常に見やすく感じます。
家計と混ざっていたら見落としていたかもしれない取引や、目的別に使った金額の確認もしやすくなり、管理の手間が減りました。
これは、家計などを管理している口座も含めると、実際に管理する口座数は増えるのですが、それ以上にメリットだったと感じます。
事業の『信頼感』の一つのかたち
屋号付き口座があることで、振込先を伝えるときにも「これは仕事として受けています」という意思表示ができているように感じます。
もちろん、口座名義だけで信頼が決まるわけではありません。
しかし、屋号付き口座であれば、事業として運営していることを明確に相手に伝えることができます。
特に、はじめて取引する相手や、法人とやり取りする場面では、個人名だけの口座よりも受け入れてもらいやすい印象があるかもしれません。
実際に、取引先との話の中で「屋号付き口座お持ちなんですね」と声をかけられたこともあります。
なにより、自分自身が「ちゃんと事業としてやっている」という気持ちを持てるのが大きなメリットでした。
目に見えるかたちで区別されることが、ひとつの自信につながったと感じています。
事業のお金を分ける習慣が法人化にも生きた
屋号付き口座で個人と事業の支出を分けていたことは、法人化後の口座運用にも自然につながっていきました。
法人は個人とは別の存在なので、当然ながら資金管理は厳格に別々で行う必要があります。
けれど、もともと「これは事業のお金」と分けて考える習慣があったことで、法人化後に求められる管理の仕方にも、スムーズに馴染むことができました。
私は、屋号付き口座を使って事業のお金を明確に分けており、法人運営の場合のお金の管理方法と近い運用をしていました。
そのおかげで、個人事業主以上にお金を明確に区別すべきとなる法人でも、口座が完全に別人格のものとなっても、抵抗なく移行できました。
屋号付き口座なら口座名を見るだけで事業用とわかりますし、意識としても家計のお金とは別管理と認識しやすいのがメリットだと感じます。
屋号付き口座を作るときの注意
屋号付き口座は便利な一方で、どの銀行でも必ず作れるというわけではありません。
口座開設には、開業届の控えや本人確認書類などが必要で、銀行によって審査の基準や必要書類が異なります。
また、ネット銀行か店舗型かによっても手続きが違い、店舗型の場合は、開設のために面談が必要な場合もあります。
ここでは、屋号付き口座を作る際に知っておきたい注意点をまとめます。
すべての銀行で作れるわけではない
「この銀行で口座を作りたい!」と思っても、屋号付き口座はすべての銀行で開設できるわけではありません。
対応している銀行であっても、事業実態の確認や書類審査が厳しい場合があります。
私は最終的に、GMOあおぞらネット銀行で1つだけ屋号付き口座を開設しましたが、みずほ銀行での開設も検討していました。
みずほ銀行の場合、個人事業主であっても「事業性口座」という法人口座と同様の性質のものとして扱われるそうで、開設の対応も法人口座に近いものが求められました。
GMOあおぞらネット銀行の開設審査は、完全オンラインで完結し、面談などもありませんでしたが、みずほ銀行では担当者と面談し、事業内容についての確認も行われました。
実務を優先し、「つかいわけ口座」のような便利な機能にも惹かれ、GMOあおぞらネット銀行の口座を開設しました。
また、信用性を得るためにメガバンクでの口座開設も検討しましたが、管理する口座数を増やしたくなかったため、最終的には1口座に絞る判断をしました。
開設には開業届の控えなどが必要
屋号付き口座の開設には、原則として開業届の控えが必要です。
紙で提出した場合は「税務署の受付印」が入った控え、e-Taxで提出した場合は受理通知が配信されるので、それが受付印の代わりになります。
加えて、事業の実態を証明できる資料の提出を求められるケースもあります。
名刺や請求書のほか、ホームページがある場合はURLの記載や印刷した資料が該当します。
私の場合、みずほ銀行では担当者の方から「ホームページがあれば、それを印刷して持ってきてください」と案内され、それを提出書類のひとつとして使いました。
GMOあおぞらネット銀行でも、事業をしていることを証明するもののひとつとして、ホームページのURL記載がは任意提出書類のひとつとなっていました。
ホームページによる事業周知は、案外こういった場面でも役にたつので、早めに用意するのがおすすめです。
屋号付き口座を申し込む前に、こうした書類が揃っているかを確認しておくと安心です。
申し込み方法や審査の流れ
屋号付き口座の申し込み方法や審査の流れは、ネット銀行と店舗型銀行で大きく異なります。
私が開設したGMOあおぞらネット銀行では、申込から開設まですべてオンラインで完結しました。
必要書類をアップロードし、数日以内にメールで審査結果が通知されるという流れです。
対面でのやり取りが一切なく、当時0歳児がいた私には自宅からでなくても完結するというのはとてもありがたいものでした。
一方、みずほ銀行のような店舗型銀行では、開設希望の連絡を入れると、別途面談の案内がありました。
あらかじめ予約を取り、指定された日時に店舗を訪問。
面談では、事業内容や今後の運営方針について詳しく聞かれ、ホームページの印刷資料などもその場で確認されました。
なお、コロナ禍を経て、近年は店舗型銀行でもZoomによるヒアリングやオンラインでの面談予約を行うケースが増えているようです。
実際に足を運ばなくても手続きが進むこともあるため、事前に確認しておくとスムーズです。
いずれの場合も、「申し込んだから使える」というわけではなく、提出書類やヒアリングを経て、審査に通過してはじめて開設できるという前提で準備を進めることが大切です。
おすすめの銀行と選び方のポイント
屋号付き口座を開設できる銀行はいくつかありますが、「どこで作るか」によって使い勝手や手続きのしやすさが大きく変わります。
ネット銀行はオンラインで完結する手軽さがあり、店舗型銀行は信用面で安心感を得られるという特徴があります。
この記事では、私がGMOあおぞらネット銀行を選んだ理由をふまえながら、それぞれのメリット・デメリットや選ぶときのポイントについてまとめます。
GMOあおぞらネット銀行を選んだ理由
私がGMOあおぞらネット銀行を選んだのは、手続きの簡便さと、機能面の使いやすさが決め手でした。
申し込みから口座開設まで完全オンラインで完結するという手続きの簡便さは大きいなポイントでした。
小さな子どもがいる中でも、外出せずに口座開設を進められるので、何て便利になったものだ・・・と感じました。
機能面のつかいやすさも大きなポイントです。GMOあおぞらネット銀行には「つかいわけ口座」という1つの口座内で複数の用途に分けて管理できる機能があり、これがともても便利です。
実は家計管理にも一部GMOあおぞらネット銀行をつかっていて、つかいわけ口座ももちろん利用して用途ごとにお金を分けています。
事業用資金の中でも、税金や事業費などの目的ごとにわけておきたい私にとって、余計な口座を増やさずに管理しやすいのは助かりました。
みずほ銀行の開設も検討していたのですが、最終的には、実務面での使いやすさや管理する口座数を増やさないことを優先し、GMOあおぞらネット銀行1本に絞るという選択をしました。
ネット銀行と店舗型銀行、それぞれの特徴
屋号付き口座を開設できる銀行には、オンラインで完結するネット銀行と、実店舗を持つ店舗型銀行があります。
ネット銀行は申込から開設までのスピードが早く、手続きもシンプルです。
書類のアップロードで完結するため、手軽に開設したい人には向いています。
一方、店舗型銀行は、申込から開設までに時間はかかりますが、担当者との面談や相談を通じて、サポートの手厚さを実感できるのが大きな特徴です。
最近ではオンライン面談や予約システムを導入するなど、ネット銀行に近いサービス形態に移行しつつある印象も受けました。
それでも、「実際に話せる人がいる」ことは、心強さを感じる場面もありました。
どちらを選ぶかは、優先したい要素や目的に応じて判断するとよいでしょう。
使いやすさ、サポート体制、手続きのしやすさなどを総合的に比較するのがおすすめです。
口座は複数必要?シンプル運用がおすすめ
個人事業主として事業用口座を作る際、「もう1口座作った方がいい?」「生活費とは完全に分けるべき?」と悩む方も多いと思います。
私自身は、GMOあおぞらネット銀行で1口座のみを開設し、「つかいわけ口座」機能を活用して、税金や事業経費などを目的ごとに分けて管理しています。
複数の銀行口座を開設するよりも管理がシンプルで、ミスや見落としも少なく、ストレスの少ない運用ができています。
もちろん、売上規模や事業の内容によっては、資金の流れに応じて複数口座を使い分けた方がよいケースもあるでしょう。
大切なのは「あとで見直せるようにしておくこと」。
事業の実態や管理しやすさを基準に、必要に応じて口座数を調整していくのが現実的だと感じています。
まとめ
個人事業主として活動を始める際、事業用に口座を作るかどうかは、多くの人が悩むポイントです。
私は、屋号付き口座を作って家計と事業のお金を分けておくことで、帳簿づけや振り返りがしやすくなりました。
屋号があることで「事業としてきちんとやっている」ということを対外的にも伝えやすくなり、作ってよかったと実感しています。
特に、オンラインで完結できるネット銀行を選べば、手続きもシンプルで、「つかいわけ口座」のようなサービスがあれば1口座でも十分に実用的な運用が可能です。
審査や書類の準備はありますが、一度きちんと整えておけば、その後の資金管理や取引の際にも安心して使い続けられます。
迷っている方は、自分にとって管理しやすい形を考えるところから始めてみるのがおすすめです。