起業する? 起業準備

個人事業主=起業?私が選んだ『現実的な起業』のはなし

「起業=法人」じゃないといけない?
開業届を出すだけで、本当に“起業した”って言っていいの?

私自身、漠然と「起業する=会社を立ち上げること」だと思っていました。
でも、「個人事業主」という形があると知り、自分にとって最も現実的な方法として選びました。

実際に起業を始める人の多くは、法人化ではなく“個人事業主”という形で第一歩を踏み出しています。

この記事では、私が個人事業主として起業を選んだ理由や、実際にやったこと、やってみて感じた注意点をまとめました。
起業形態に悩んでいる方は、是非、個人事業主という現実的な起業方法を知ってください。

「できる範囲で、無理なく起業したい」そう思っている人に、きっと役立つ内容です。

「“起業=個人事業主?”まずは言葉の意味を整理」

「起業」と「個人事業主」。
よく耳にする言葉ですが、違いをはっきり説明できる人は意外と少ないかもしれません。

このパートでは、まずそれぞれの言葉が何を指しているのかを整理し、よくある誤解や、私自身が感じていたモヤモヤについてお伝えします。

起業とは?ざっくり定義すると

「起業」とは、ざっくり言えば自分で事業を始めることです。
法人を設立しても、個人でビジネスを始めても、どちらも“起業”に含まれます。

実際には、「起業=法人を立ち上げること」と思っている人も多いですが、法律上や制度上で「起業とはこうだ」と定められているわけではありません。

つまり、“起業”という言葉にはっきりとした定義はなく、実態としては「誰かに雇われず、自分で仕事を始めた状態」を指すのが一般的です。

私自身も最初は、起業=会社を作ることだと思っていたひとりでした。
けれど、実際はもっと現実的で、小さく始められる起業の形もあると知りました。

個人事業主とは?

「個人事業主」とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことです。
開業届を税務署に提出するだけで、誰でも個人事業主になれます。

会社のように登記や資本金が必要なわけではなく、比較的ハードルが低いため、「まずは個人事業主から始める」という人も少なくありません。

税金や社会保険の扱いは、会社員とは大きく異なります。
たとえば、所得税は自分で確定申告をして納める必要がありますし、国民健康保険・国民年金への加入も必要になります。

事業内容に決まりはなく、ライターやデザイナー、コンサルタント、講師など、スモールビジネスや専門職として働く人が多い印象です。
私自身もBtoBの専門型コンサルとして起業していて、同業で起業している方も個人事業主がほとんどです。

法人よりも身軽にスタートできる分、自己管理が求められる働き方でもあります。

法人じゃなきゃ起業じゃない?

起業という言葉に触れたとき、私の頭に浮かんでいたのは“会社を立ち上げる”というイメージでした。
登記や資本金、取締役など、いわゆる「法人化」が起業だと思っていたのです。

でも調べていくうちに、「個人事業主というかたちでも起業できる」とわかりました。
実際、私が受講した起業セミナーでは「最初は個人事業主で始めて、収支が安定してから法人化を検討すればいい」と説明されていました。

現実的には、法人化には設立資金や事務負担もかかります。
私の場合、家族に銀行からの借入は反対されており、資金に余裕がある状況ではありませんでした。

こうした背景もあり、法人ではなく“個人事業主として始める”という選択が、当時の私にとって最も現実的な起業のかたちだったのです。

『起業』というより『独立』だった私の選択理由

私の場合、起業というよりも「独立」という感覚が近かったように思います。
何か新しいことに挑戦するというより、働き方の制約を抜け出すための手段としての選択でした。

当時の状況や資金面を踏まえ、「まずは個人事業主で始めよう」と判断するに至った背景をお伝えします。

選んだ背景は「必要に迫られて」

私が個人事業主として起業を選んだ背景には、
「働き方の制約をどうにかしたい」という切実な思いがありました。

子育てと仕事を両立するには、会社員という働き方では限界がありました。
当時は夫が体調を崩して休職しており、家族のサポートが必要な状況だったのです。

とはいえ、生活のために収入は必要。
自分で時間を調整しながら働ける方法を考えた結果、個人事業主という形が現実的でした。

“何かに挑戦したい”というより、“このままじゃ続かない”という状況だったからこそ、私にとっては「独立」が最も自然な選択だったのだと思います。

法人化が現実的でなかった理由

起業を考えたとき、一度は「法人化したほうがいいのでは?」とも思いました。
しかし、法人を設立するには登記費用や定款の準備など、初期コストがかかります。

私の場合、家族が銀行からの借入に反対しており、まとまった資金を用意するのは現実的ではありませんでした。

さらに、法人化すると経理や税務の処理が複雑になり、当時、育児と病気療養中の夫のお世話に加えて事務的な負担が増えることもネックでした。

当時の私は「とにかく今すぐ働ける状態を作ること」が最優先で、見栄えや制度面より、身軽に始められることを重視していました。

こうした事情から、「まずは個人事業主として始めてみる」ことが、最もムダがなく、現実的な選択だと判断したのです。

起業セミナーでのアドバイス

起業前に参加したセミナーでは、講師から「いきなり法人を立ち上げる必要はない」と説明がありました。
「まずは個人事業主としてスタートし、収支が安定してから法人化を考えればよい」というアドバイスでした。

当時の私は、“起業=会社を作ること”と漠然と考えていたので、その言葉にかなりほっとしたのを覚えています。

実際に法人化する場合でも、まず個人事業主として始めたほうが判断材料が増えます。
自分に合った働き方や、事業の可能性を見極めてからでも遅くはありません。

このアドバイスは、私にとって「今できる形で始めていい」と思えるきっかけになりました。
起業のかたちに正解はないという視点を持つうえで、大きなヒントになったと感じています。

個人事業主で始めたときにやったこと

ここからは、私が実際に個人事業主として起業したときに、最初にやったことをご紹介します。

開業届の提出や屋号付き口座の開設、名刺やホームページの準備など、「これだけはやっておいてよかった」と感じたことを中心にまとめました。

どれも大がかりな準備ではなく、今すぐにでも取りかかれるような内容ばかりです。

最低限やった3つの準備

個人事業主として起業すると決めて、まず取りかかったのは次の3つです。
「開業届の提出」「屋号付き口座の開設」「名刺とホームページの準備」
どれも派手な準備ではありませんが、事業として信頼されるためには必要だと感じました。

開業届は、税務署に提出するだけで完了します。私はe-Taxを使ってオンラインで済ませました。
e-Taxなら自宅にいながら提出できるので、とても便利。当時、子どもが0歳だったので、本当に助かりました。
「具体的にどうやったの?」という方は、こちらの記事で詳しく解説しています。


屋号付き口座は、事業とプライベートの出入りを分けるために必須。
経理がラクになるだけでなく、取引先にも「事業としてやっている」という印象を持ってもらえます。

名刺とホームページは、まだ実績がない時期に信用を補うツールになりました。
「どんなことをやっているか」を相手に示す場があるだけで、反応が全く違ってきます。

会計はソフトなし、Excel管理にした理由

多くの人が起業と同時に会計ソフトを導入しますが、個人事業主として事業を行っている間、私は会計ソフトを使わず、Excelで帳簿を管理していました。

理由のひとつは、事業内容がシンプルだったこと。
私はコンサル業なので、仕入れや在庫がなく、帳簿づけも複雑ではありません。
もうひとつは、ランニングコストをかけたくなかったからです。

freeeやマネーフォワードなど便利なツールもありますが、利用には月額費用がかかります。
起業初期には、地味に積み重なると痛手になる出費です。

無料の会計自動化ソフト マネーフォワード クラウド会計


商工会議所の相談員である姉にも相談したところ、「会計が複雑でないならまず自分でやってみて、難しそうなら導入すればいい。
会計の流れを知ることもできるよ」とアドバイスされました。

あわせて、「ごく簡単でいいから、青色申告に関する本を読むといい」と勧められ、参考にしたのが『超シンプルな青色申告、教えてもらいました!』という本です。

公認会計士作成のExcel帳簿テンプレートがついていて、この方法で個人事業主の間は帳簿をつけ、確定申告も問題なく済ませています。

※ただし2021年発行なので、インボイス制度については別途確認が必要です。

“信用の見せ方”を意識した工夫

起業初期は、実績も口コミもありません。
そんな中で「ちゃんと仕事をしている人」と見てもらうために、私は“信用の見せ方”を意識しました。

特に意識したのが、名刺とホームページの準備です。

名刺は商談や打ち合わせの場で自分を紹介する最低限のツール。
肩書や屋号があるだけでも、印象が大きく変わります。

ホームページは、仕事の内容や問い合わせ先をまとめた“事業の顔”として活用。
対面の営業やSNSに頼らなくても、自分のサービスを伝える手段として機能します。
実は、先に起業している先輩方から「絶対にあった方がいい」と強く勧められたのがホームページ作成
実際に、名刺にホームページのQRコードを入れて、名刺交換の際に十分紹介ができなくても事業を知ってもらうきっかけになっています。

「この人、本当に事業としてやっているんだな」と思ってもらえる環境づくりは、個人で働く上で意外と重要なポイントでした。

「実際にやってみて感じたこと・注意したこと

ここでは、私が実際に個人事業主として働いてみて感じたことや、「これは注意しておいた方がいいな」と思ったポイントをまとめます。

始める前には気づかなかったリアルな部分や、やってみて初めて見えてきたメリット・デメリットもありました。

これから個人事業主としてスタートを考えている方の参考になれば嬉しいです。

収入の波にどう備えたか

個人事業主として働く上で、避けて通れないのが「収入の波」です。
契約が決まるタイミングや業務量により、月ごとの収入にはどうしても差が出ます。

さらに言えば、起業初期は収入がない状態が続くと想定していましたし、実際にそうでした。
定期的な収入が発生するようになったのは事業開始から半年近くかかりましたし、定期収入が発生するようになっても数か月は経費を考えれば本当に雀の涙。

やはり、毎月決まった金額が入る会社員時代と比べて、収入が安定しないことに不安を感じました。

それでもなんとかなったのが、防衛資金があったから。
どちらかといえば家計の話になりますが、万が一、収入がなくなっても半年は耐えられるだけの生活費を確保したうえで起業してました。

また、軌道にのるまでは事業展開する内容を絞って、兼業で進めたいとも考えていました。
「起業したからといって、一本化しなければならない」というわけではないので、収入が不安定になる期間の乗り越え方を自分なりに考えておく必要があります。

保険・税金で驚いたこと

起業してすぐに直面したのが、保険料と税金の負担感です。
個人事業主になると、健康保険や年金はすべて自分で支払う必要があり、会社員時代より負担が大きくなります。

特に驚いたのが、国民健康保険の高さでした。
収入がそれほどない起業初期でも、前年の収入や世帯構成によって保険料が決まるため、思っていた以上の金額に驚いたのを覚えています。

このとき、「会社員でいることの社会保障の安心感」を改めて実感しました。
実際、会社員のまま副業として事業を始めれば、社会保険はそのまま適用されますし、配偶者の扶養に入れるならそのほうが得策というケースもあります。
ちなみに私は、夫の健保に個人事業主が扶養として入るいは条件が厳しく、泣く泣く国保でした。

起業前後で社会保険の違いを知っておくだけでも、精神的な安心感は大きく変わると感じました。

経費と会計の考え方

個人事業主として起業すると、何にいくら使っているか、どれが経費になるのかを自分で判断しなければなりません。

私が心がけていたのは、「なんでもかんでも経費にしない」ということ。
とにかく節税したいという気持ちが先走ると、事業に関係のない支出まで経費に入れてしまいがちです。
ネットで調べると、いかに経費にするか、という情報が多くありますが、節税と脱税は全く異なります。

実際、事業として見られることが前提なので、万が一税務調査が入ったときに説明できるかどうかが重要になります。
「割と無理やり経費に計上している部分もあったから税務調査が入った時にひやひやした」と言っていた友人もいました・・・。

また、会計の流れを自分で把握することで、事業の数字に敏感になり、必要な支出・不要な支出の見極めも自然とついてきました。

帳簿をつける作業は面倒に感じることもありますが、「お金の動き=事業の動き」だと考えると、会計は起業に欠かせない大事な部分だと思っています。

『起業のかたち』はひとつじゃなくていい

ここまで、私が個人事業主というかたちで起業した経緯や実際にやってきたことをご紹介してきました。
ただ、これはあくまで「私にとって現実的だったかたち」であり、すべての人に当てはまるものではありません。

起業にはさまざまなスタイルがあり、どれが正解というものはありません。
このパートでは、私が感じた“起業に対する考え方の変化”についてまとめます。

私にとって『現実的な起業』とは

私にとっての起業は、「何かに挑戦する」というより、
「今の働き方ではもう続けられない」という現実から生まれたものでした。

大きな資金を用意したわけでも、革新的なビジネスを立ち上げたわけでもありません。
今でこそ法人化していますが、それもがんがん稼ぎたい!稼げている!というわけではなく、ブランディング戦略という面が大きいです。
必要に迫られて、無理のない範囲でできることを、と考えていたので、個人事業主として起業したのは正解だったと思います。

開業届を出して、屋号を決めて、名刺とホームページを用意する。
すべて小さな一歩ですが、積み重ねることで「仕事」として成り立っていきました。

私にとっての“現実的な起業”とは、背伸びせず、自分の生活と折り合いをつけながら始めること。
そして、自分にとってちょうどいい働き方を模索することだと、今では感じています。

あなたにとっての“ちょうどいい”は?

「起業=すごいことを成し遂げる人」というイメージがあるかもしれません。私も「なんだかすごいことで自分には縁がない」と思っています。
でも今は、起業にはいろいろな形があって、正解はひとつではないと私は感じています。

生活の状況、家族の事情、使える時間や体力。
すべてをひっくるめて、自分が無理なくできるやり方を探すこと。
それが“現実的な起業”の第一歩になるのではないでしょうか。

私自身も、今の形がずっと続くとは思っていません。
状況に合わせて変化しながら、「これが自分に合ってる」と思える働き方を探し続けるつもりです。

もし今、「このまま会社員でいいのかな」と思っているなら、選択肢のひとつとして“個人事業主として始めてみる”を検討してみてほしいと思います。

まとめ

今回は、私自身が個人事業主として起業した体験をもとに、起業=法人だけじゃないという現実的な選択肢についてお伝えしました。

「起業」と聞くと構えてしまう人も多いと思いますが、生活や状況に合わせた“ちょうどいい形”を選ぶことが何より大切です。

私にとっては、それが個人事業主というスタートでした。
これから起業を考えている方にとって、「こんな形でもいいんだ」と思えるきっかけになればうれしいです。

無理なく、でもしっかり「仕事」として成り立たせることはできます。
ぜひ、自分らしい起業のかたちを探してみてください。

  • この記事を書いた人

みかん

育休中に必要に迫られ、全くキラキラしていない起業をした一児の母。 地に足ついた起業の軌跡をお届けします。

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