起業と聞くと、会社を辞めてすべてを投じるイメージがあるかもしれませんが、実際には会社員を続けながら起業することも可能です。
「副業」や「兼業起業」という言葉が一般化し、開業届を提出すれば、個人事業主としてのスタートラインに立つことができます。
私自身も、育休中に個人事業主として開業届を出し、事業をスタートさせました。
法人を設立する必要はなく、役所に開業届を1枚出すだけ。費用もかからず、最小限の手続きで始められるのが個人事業主のメリットです。
ただし、会社員という立場を維持しながら起業する場合、いくつか注意すべき点があります。
ここからは、「会社員でも起業できる理由」と「育休中の注意点」に分けて解説していきます。
育休中に起業する方法│会社員が開業届を出すときの注意点
会社を辞めずに、自分の名前で事業を始めることは可能です。
実際、開業届を提出すれば「個人事業主」として起業でき、副業や育休中の活動として始める人も増えています。
起業=法人設立と考える方も多いですが、必ずしもそうではありません。
個人事業主としてスタートすれば、費用や手続きのハードルが低く、会社員の立場を維持したままでも現実的に始めることができます。
ここからは、私自身が育休中に起業した経験をもとに、「会社員として起業する場合の方法」と「注意点」について具体的にお伝えします。
会社員でも起業は可能│個人事業主という選択
会社員として働きながら、個人で事業を始めることは可能です。
その代表的な方法が「個人事業主として開業届を提出する」という形です。個人事業主であれば、税務署に書類を1枚提出するだけで、事業活動として認められます。
法人を設立するような手間や費用はかからず、スモールスタートがしやすいのが特徴です。
法人の場合は、設立登記や資本金の準備、印鑑証明など複雑な手続きと費用が発生しますが、個人事業主であれば、そのようなハードルはありません。
こうした手軽さもあり、近年は副業解禁の流れに乗って、会社員として在籍しながら開業届を出す人が増えています。
私自身も、育休中に個人事業主として開業届を出し、事業をスタートさせました。
会社に在籍したまま動き出せたことで、大きなリスクを取ることなく始めることができましたし、さらに言えば、育児休業給付金があったことで、ある程度の生活が保障されたのも大きな支えとなりました。
ただし、たとえ本業が一時的に停止している育休中であっても、「会社員であること」には変わりありません。
そのため、起業の内容や稼働の程度によっては、育児休業給付金などの支給条件に影響を与える場合もあります。
次の章では、育休中に起業を考える際に注意すべきポイントを具体的にお伝えします。
就業規則は必ず確認│副業NGのパターンと注意点
育休中であっても、会社に在籍している限りは「会社員」という身分に変わりはありません。
そのため、個人事業としての開業を考える際は、まず就業規則に記載された副業に関する規定を確認することが必要です。
これは育休中かどうかに関係なく、会社員として起業する場合には必ず確認すべき基本事項です。
副業そのものを禁止している会社もあれば、「同業他社はNG」「雇用契約は不可だが業務委託ならOK」といった条件付きで認めている会社もあります。
「副業OK」と書かれていても、内容や契約形態に制限がある場合もあり、自己判断で動くのは避けるべきです。
私の場合も、「雇用契約は不可だが業務委託ならOK」という規定がありました。
開業届を出して個人事業主となり、業務委託として仕事を受ける働き方であれば就業規則に抵触しないため、自然な流れで個人事業主としての開業を選びました。
育休中の起業│給付金と事業の関係
育児休業中に起業する際は、育児休業給付金との関係にも注意が必要です。
この給付金は、「原則として就労していないこと」が支給要件のひとつとされており、収入の有無や働き方によっては、給付が止まる可能性があります。
たとえば、実際に売上が発生したり、一定の時間以上働いたと判断される場合には、「就労した」とみなされ、給付金が支給されなくなるケースもあります。
具体的な基準として、1日6時間以上の労働に該当する活動が月に何度あるかなどが目安になるとされています。
制度のルール自体は全国共通ですが、就労とみなすかどうかの判断は、最終的には各ハローワークが個別に行っています。
不安であれば、「この程度なら大丈夫」と自己判断せずに、事前に自分の管轄のハローワークへ相談しておくと安心です。
私自身も、制度上の条件から外れないよう、開業のタイミングや活動内容には十分に注意しました。
制度の運用はケースバイケースで判断されることもあるため、迷う点があれば慎重に確認する姿勢が大切だと感じています。
育休中だからこそ感じる「時間の壁」
「育休中なら時間があるし、起業の準備が進むのでは?」と思われることがあります。
たしかに通勤や残業はなくなりますが、実際には育児そのものがフルタイムに近いか、場合によってはそれ以上に自分の時間に制約を受けるものであり、
まとまった時間を確保するのは簡単ではありません。
さらに、赤ちゃんのお世話は予測不能で、集中して作業できる時間は限られます。
事業の立ち上げや準備をするには、想像以上に時間のやりくりと集中力の維持が課題となります。
ここでは、「時間があるように見えて実は制約だらけだった」育休中の現実と、限られた時間で何を優先して動くべきかについて考えてみます。
育休中の現実│びっくりするくらい取れない「まとまった時間」
育休中なら、時間に余裕がありそう——。
そう感じたり、見られたりすることは多いかもしれません。
たしかに、仕事そのものだけでなく、通勤や残業といった会社員としての時間拘束はなくなります。
けれどその代わりに、日常のすべてが育児に置き換わるのが育休中のリアルです。
育休中は、授乳・寝かしつけ・おむつ替えが無限ループで訪れる乳児期の子が常にいます。
さらに夜泣きや体調不良が重なれば、**予定通りに進むということはまずなく、**まとまった時間を確保するのは非常に困難です。
「何時から何時までは作業に集中する」といった時間の区切り方は現実的ではなく、すきま時間をどう活かすかがカギになります。
私自身も、1時間連続して机に向かえた日は「今日はすごく進んだ」と思えるほど、日々のタスクは細切れで進めていました。
また、一時預かりが利用できるかどうか、パートナーの協力がどれほど得られるかによっても、時間の壁の高さは大きく変わります。
加えて、起業の準備を進めたのは産後まもない時期でもあり、心身ともに万全とは言えない状態で何かを始めるのは想像以上に大変でした。
「育休中=自由な時間がたっぷりある」とは、とても言えない現実がそこにはあります。
時間がないからこそ厳選│限られた時間で準備を進めるには
育休中に起業の準備を進めるうえで、最も重要だったのは「すべてを完璧にやろうとしないこと」でした。
まとまった時間が確保できない前提なので、なかなか思うように進まないのは日常茶飯事です。作業を進めているうちに強制的にタイムアップとなるのはもはやデフォルトです。
そこで私は、「最小限で仕事を受けられる状態とは何か」をあらかじめ整理し、やるべきことを厳選しました。
まず取り組んだのは、ホームページと名刺の作成です。
この2つがあれば、問い合わせ対応や自己紹介がスムーズになり、仕事の依頼につなげやすくなります。
実際、この2つを早めに整えておいたことで、名刺交換や紹介の際にも困ることはなく、開業初期の安心感にもつながりました。
完璧を目指すのではなく、限られた時間で何を最優先に整えるべきか。
育休中の起業では、そこを見極めて動くことが何より大切だと感じています。
私が起業しようと思った時にまずやった3つのことはこちら。
続きを見る
起業したい!何から始める?│最初にやった3つのこと
まとめ
育休中に会社員としての身分を保ちながら、個人事業主として起業することは可能です。
ただし、就業規則や副業の制限、育児休業給付金との関係など、事前に確認すべき点がいくつかあります。
また、育休中は時間に余裕があるように見えて、実際には育児そのものが日常の大部分を占めており、思うように進まないのが現実です。
産後ということもあり、体調も万全ではないまま準備を進めることになるので、サポートが少ないとかなり大変です。
実際、私自身も育児に加え、家族の体調不良で休職していたこともあり、必要に迫られていなければ、開業には踏み切っていなかったかもしれません。
それでも「今できる範囲で動く」ことが、結果的にその後の働き方の自由度を広げることにつながりました。
完璧を目指すのではなく、まずは最低限の準備にしぼって一歩ずつ進めることが、現実的で続けやすい起業の形になります。
起業に向けた動き方は人それぞれです。
育休中という限られた状況であっても、自分のペースで準備を進めることは可能です。
生活や体調とのバランスをとりながら、無理のない範囲で一歩ずつ進めることが、起業を現実の選択肢として捉える第一歩になります。